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Pianist

Yuki Nambu

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1年


3月6日。 ちょうど一年前の今日、私はウィーン国立音楽大学院のピアノ室内楽科修士課程の修了試験を受けました。

たくさんの友人やウィーンでお世話になった方に会場にいらしていただけて、温かく見守っていただけたこと、演奏後に先生によく頑張ったね、と言われて、思わず涙を流してしまったこと…。

思い出すと、胸がキュッとします。

留学最後の一年間は本当に本当に充実していました。素敵な仲間に囲まれて、助けられて、私の音楽もグググッと伸びたように思います。

練習して、合わせをして、一緒にごはんを食べて、また練習して、遊びに行って思いっきりはしゃいで仲良くなって、また練習して、お互いのコンサートに行って。

音楽漬けの日々でした。

あれから1年。

自分で思っていたよりもはるかにたくさんの機会に恵まれ、思っていたよりもはるかにたくさんピアノを弾いています。

「日本に帰ったら何するの?」

といろんな国の友達に聞かれる度に 

「うん、両親のとこに帰ってちょっとゆっくり休憩する!」 

なんて笑顔で答えていた私ですが、 

ほんとに休憩してたの、一年のうちの何日間だろう…。

というくらいピアノに向き合っていました。

最初は日本のピアノのタッチと音に慣れるので精一杯でしたが、いつのまにかそれにも慣れ、(半年間は試行錯誤していました) 今はヨーロッパで出していた音を忘れないように忘れないようにと練習しています。

離れているけど、ウィーンの友人たちの演奏する動画を見て、元気とやる気をもらっています。

私も頑張らなくては。まだまだこれから。

私のピアノの部屋の時計は、今でもウィーンの時間に合わせて動いています。

みんなのこと忘れないように。同じ時間を生きてること忘れないように。

不思議な時間をした時計は、生徒さんに大好評です。

「先生、いま外国は何時?」

と聞かれる度に、「えーっとねぇ…」と、笑顔で答えている私なのでした。

庭の木々や草花も芽吹き出しました。

もう春はすぐそこ。

一年経って、私も少し成長したかな。

来年も、これからも、見た目にはすぐにはわからなくても、ちょっとずつでも、節を伸ばせたらいいな。

そんなことを思いました。

毎日を大事に過ごそうと思います。


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